2021年の春先からFUJIFILMのミラーレス一眼レフカメラX-S10を使用している。本機は2020年11月に発売されたので、発売から半年以上経過しての購入となる。
それまではLUMIX(Panasonic)のGX7MK2を愛用してきたので、今回はシステムごと入れ替えた形となった。
- なぜLUMIXからFUJIFILMに乗り換えたのか
- FUJIFILMの中でも「X-S10」を選んだ理由
カメラのレビューと併せて上記の2点について書いていこうと思う。
FUJIFILM X-S10を購入した理由
FUJIFILM X-S10は富士フイルムのXシステムから、新たにSシリーズとして登場したミドルクラスのミラーレス一眼レフカメラだ。
Sシリーズの由来はコンセプトに掲げた特性の共通の頭文字からきている。
Small & Slim = 小型軽量
Secure(安全) = グリップ
Stable(安定) = 手ブレ補正
Simple(シンプル) = 操作性
FUJIFILM X-S10はシリーズのコンセプト通り、小型で軽量、使いやすさを重視したカメラだ。
冒頭で伝えたが、今まではLUMIXのGX7MK2を使用していた。気に入ったアイテムはとことん使うタイプなので、特に最新機種にこだわっていたわけではない。
もちろん壊れたわけではないし、写真の仕上がりも問題ない。
ではなぜカメラを買い替えたのか。理由はこちらの2点だ。
・子供が産まれるので、動画も撮れる機動力のあるカメラが欲しかった
・FUJIFILMの色味(フィルムシュミレーション)に興味があった
子供の成長を記録するため、動画も撮れる機動力のあるカメラが欲しかった
2021年10月に子供が産まれた。本業やブログでは物撮り、プライベートではスナップ写真を撮っているが、被写体が加わることになる。
写真だけでなく動画も撮りたいが、そうなるとGX7MK2だとオートフォーカスが遅かったり、外部マイク端子が無かったり、チルト液晶だったりと色々不満が出てくる。
4K動画も撮影出来るしマイクロフォーサーズ機なのでカメラ本体もレンズもコンパクトなので良い部分も十分あるのだが、この機会に写真も動画も満足に撮れるコンパクトで取り回しの良いカメラにしたいと考えた。
FUJIFILMの色味(フィルムシュミレーション)に興味があった
X-T4が発売されたあたりからFUJIFILMには興味があった。元々カメラはフィルムカメラ(Nikon New FM2)から入ったので、クラシカルなデザインにも惹かれる部分があり、フィルムライクな絵作りも好みだった。
作品を作るのであれば別だが、日常の記録として撮るときにたくさんの枚数をレタッチするのも効率が悪い。それなら撮って出しでも好みな色合いで撮ってくれるカメラが良い。
FUJIFILM機で動画に必要な機能が搭載されたコンパクトなカメラ。
そう考えたときにX-S10一択だった。
FUJIFILM X-S10レビュー
FUJIFILM X-S10とフジノンレンズXF18-55mmF2.8-4 R LM OISの組み合わせ。
レンズキットにはXC15-45mmとのセットやダブルズームキットもあるが、XFシリーズの質感が好みなのと、自分がよく使用する画角なのでこのXF18-55mmとのセットを選んだ。
FUJIFILM X-S10の仕様
機種名 | FUJIFILM X-S10 | |
有効画素数 | 約2610万画素 | |
撮像素子 | 23.5mm×15.6mm(APS-Cサイズ) X-Trans CMOS 4センサー、 原色フィルター採用 | |
記録メディア | SDメモリーカード(~2GB)/SDHCメモリーカード(~32GB)/SDXCメモリーカード(~2TB) | |
UHS-Ⅰ対応 | ||
静止画記録方式 | DCF Ver.2.0準拠 JPEG(Exif Ver.2.3、 DPOF対応*1) RAW(14bit RAF独自フォーマット) |
|
記録画素数(ピクセル) | [L]〈3:2〉 6240×4160 〈16:9〉 6240×3512 〈1:1〉 4160×4160 | |
[M]〈3:2〉 4416×2944 〈16:9〉 4416×2488 〈1:1〉 2944×2944 | ||
[S]〈3:2〉 3120×2080 〈16:9〉 3120×1760 〈1:1〉 2080×2080 | ||
レンズマウント | FUJIFILM Xマウント | |
手ブレ補正 | 補正機構 | センサーシフト方式5軸補正 |
補正段数 | 最大6.0段(CIPA規格準拠、ピッチ/ヨー方向) | |
電子防振 | あり(動画のみ) | |
ブレ防止モードブースト | あり(動画のみ) | |
シャッタースピード | メカニカルシャッター | Pモード:4秒~1/4000秒 Aモード:30秒~1/4000秒 S/Mモード:15分~1/4000秒 バルブ:最長60分 |
電子シャッター(*2) | Pモード: 4秒~1/32000秒 Aモード: 30秒~1/32000秒 S/Mモード: 15分~1/32000秒 バルブ: 1秒固定 | |
メカニカル+電子シャッター | Pモード: 4秒~1/32000秒 Aモード: 30秒~1/32000秒 S/Mモード: 15分~1/32000秒 バルブ: 最長60分 | |
動画 | FHD: 1/4000秒~1/24秒(フレームレートによって異なります) | |
フラッシュ同調速度 | 1/180秒以下 | |
アクセサリーシュー | あり(TTLフラッシュ対応) | |
ファインダー | 0.39型有機ELファインダー 約236万ドット(視野率約100%) | |
アイポイント: 約17.5mm(接眼レンズ最後尾から) 視度調整範囲: – 4~+2m-1 | ||
ファインダー倍率: 0.62倍(35mm判換算50mmレンズ、 無限遠、 視度 -1m-1のとき) | ||
対角視野: 約31°(水平視野: 約26°) | ||
アイセンサー付き | ||
液晶モニター | 3.0型 3:2アスペクト バリアングル式タッチパネル付きTFTカラー液晶モニター 約104万ドット | |
動画 | 記録方式 | ファイル記録形式: MOV、MP4 圧縮方式: MPEG-4 AVC/H.264 音声記録方式: リニアPCM ステレオ(24bit/48KHzサンプリング)、AAC |
動画圧縮方式 | Long GOP | |
記録画素数 フレームレート 連続記録時間 |
[DCI4K(4096×2160)] 29.97p/25p/24p/23.98p 200Mbps/100Mbps 連続最大約30分まで [4K(3840×2160)] 29.97p/25p/24p/23.98p 200Mbps/100Mbps 連続最大約30分まで [Full HD(2048×1080)] 59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 200Mbps/100Mbps/50Mbps 連続最大約30分まで [Full HD(1920×1080)] 59.94p/50p/29.97p/25p/24p/23.98p 200Mbps/100Mbps/50Mbps 連続最大約30分まで [Full HD(1920×1080)] ハイスピード動画 240P/200P 200Mbps(記録時) 連続最大約3分まで 120p/100p 200Mbps(記録時) 連続最大約6分まで ※動画を撮影するときは、UHSスピードクラス3以上のSDメモリーカードをご使用ください。 ※25℃(室温および録画開始時のカメラ温度)で測定。 条件によって撮影可能時間は変わります。 |
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フィルムシミュレーションモード | 18モード(PROVIA/スタンダード、 Velvia/ビビッド、 ASTIA/ソフト、 クラシッククローム、 PRO Neg.Hi、 PRO Neg.Std、 モノクロ、 モノクロ+Yeフィルター、 モノクロ+Rフィルター、 モノクロ+Gフィルター、 セピア、 ACROS、 ACROS+Yeフィルター、 ACROS+Rフィルター、 ACROS+Gフィルター、ETERNA/シネマ、クラシックネガ、ETERNAブリーチバイパス) モノクロームカラー |
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電源 | 充電式バッテリーNP-W126S(リチウムイオンタイプ) ※付属 | |
静止画撮影可能枚数*3 | 約325枚(ノーマルモード時) ※ XF35mmF1.4 R使用時 | |
実撮影電池寿命*3 ※顔検出OFF時 |
[4K] 約40分(29.97p時) [Full HD] 約40分(59.94p時) |
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連続撮影電池寿命*3 ※顔検出OFF時 |
[4K] 約55分(29.97p時) [Full HD] 約65分(59.94p時) |
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本体外形寸法 | [幅]126.0mm×[高さ]85.1mm×[奥行き]65.4mm(最薄部32.9mm) | |
質量 | 約465g(バッテリー、 SDメモリーカード含む)/約415g(バッテリー、 SDメモリーカード含まず) |
X-S10のよかったところ
操作が直感的
FUJIFILMのカメラはダイヤルが特徴に挙げられるが、X-S10はFUJIFILM機の中でも、他社カメラに近いので、カメラ初心者や他社カメラからの乗り換えでも違和感なく使い始められる。また、モードダイヤルにカスタムした設定を割り当てることができるので、撮りたいときに撮りたい設定を素早く呼び出すことが可能だ。
また、クイックメニュー(Qボタン)で好きな機能を割り当てることもできる。静止画撮影時と動画撮影時で項目を個別設定できるのも良い。
軽量でコンパクト
X-S10の重量はメモリーカードやバッテリーを入れた状態で約465g。
以前まで使用していたGX7MK2は約426gなので、センサーサイズの小さいマイクロフォーサーズ機と比較しても40g程度しか変わらない。
今後子供の写真やVLOGを撮影するにあたり、軽量・コンパクトは欠かせない要素だ。
子供を抱っこしながら自撮りをすることもあるだろうし、子供と外出するには荷物が多くなると思う。なのでカメラはなるべく軽いものを選びたかった。
併せて使用するレンズ「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」の重量は310g。本体のX-S10との合計は775g。カメラとレンズを合わせても1kg未満と非常に軽く持ち運びが苦になることはない。
深いグリップ
X-Pro3やX-T4などのFUJIFILMの他モデルと比べてグリップが深いことも特長だ。
前述のとおり、X-S10は非常に軽量でコンパクト。GXMK2と比較しても大した差はないのだが、そうなると大きいレンズをつけた際にバランスが取りにくくなる。GX7MK2はマイクロフォーサーズ機なのでレンズもコンパクトなので特に問題はなかったが、APS-C機のX-S10に対応するXマウントのレンズではやや大きいものがある。グリップが深いおかげで安定してカメラをホールドできる。
ニューボーンフォトなど、子供を上から俯瞰で撮るといったシチュエーションも多くなるので、落としてしまうということも防げるので「パパカメラ」としても非常に嬉しいポイントではないだろうか。
バリアングル
X-S10はカメラ背面の液晶画面を可動させることができるバリアングル液晶が搭載されている。カメラを構える位置に関わらず液晶を見やすい位置に変えられ、自撮りするときにはカメラ正面側にも液晶画面を向けることができるので特に動画撮影をするときにも重宝されている機能だ。
子供を抱き抱えながら動画を撮影したいので、バリアングル液晶も必要だと思っていた。
フィルムシュミレーション
フィルムシミュレーションで映し出される富士フイルムのカメラだけにしか表現できない独特の世界観。単なるエフェクト機能ではなく、フイルムの開発・販売を続けてきた富士フイルムだからこそできる色再現は富士フイルム機を使う最大の魅力だ。
PROVIA/スタンダード | シーンタフネス性に優れるスタンダードモード。標準的な発色と諧調で人物・風景など幅広い被写体に適します。 |
Velvia/ビビッド | 鮮やかな原色再現で風景・ネイチャー撮影に最適。高彩度な発色とメリハリある階調表現で風景・自然写真に最適です。 |
ASTIA/ソフト | やわらかさと高彩度を両立したモード。落ち着いた発色とソフトな階調でしっとりとした表現に適します。 |
クラシッククローム | 重厚な雰囲気でドキュメンタリー調の世界観を表現。発色をおさえ暗部のコントラストを高めることで落ち着いた表現に適します。 |
PRO Neg. Hi | ナチュラルな肌色再現が特長のモード。コントラストを高めたややメリハリのあるポートレート撮影に適します。 |
PRO Neg. Std | 軟調で彩度が低く、スナップでも個性を発揮。肌色の質感を再現したいポートレート撮影に適します。 |
クラシックネガ | 深い色とメリハリのある階調で被写体をしっかりとした立体感で表現します。 |
ETERNA シネマ | 落ち着いた発色と豊かなシャドウトーンで動画に適します。 |
ETERNA ブリーチバイパス | 低彩度かつ高コントラストの独特な発色で撮影できます。動画撮影にも適します。 |
ACROS(+Ye/R/Gフィルター) | 豊かな階調を徹底的に追及した新モノクロモード。唇、肌の調子を出し、ポートレートに適します。 |
モノクロ(+Ye/R/Gフィルター) | シーンタフネス性が高いスタンダードなモノクロ。コントラストをやや強調し、青空が少し濃くなります。 |
セピア | ウォーム調のセピアカラー。レトロな被写体に。 |
FUJIFILM X-S10は、最新のシミュレーションを含む18種類を使用することができる。
最新のシミュレーションは下記の2点だ。
- クラシックネガ
- ETERNA_ブリーチバイパス
X-Pro3以降に発売された機種にしか搭載されていないため、このシミュレーションを使えることもX-S10を使用するアドバンテージともなっている。
X-S10の気になるところ
バッテリーの持ちが良くない
FUJIFILM X-S10の唯一の欠点といえるのがバッテリー持ちだ。
FUJIFILM X-S10に使用されているバッテリーはX-T3などと同じ「NP-W126S」という型番のバッテリーだ。上位モデルのX-T4から大容量バッテリーに変わったが、X-S10は小型化を狙い従来のバッテリーを採用していると思われる。
X-T4とX-S10の比較レビューなどでこのデメリットは必ず挙げられているポイントだ。
正直購入する際に、この部分が気になりX-T4の購入も検討していた。
しかし、撮影中は軽量・コンパクトを優先したい。それを考えるとバッテリー以外はX-S10のほうが希望にあったスペックだ。
電池持ちは良いとは言えないが、予備バッテリーを用意しておけば問題ない。持ち歩く荷物が増えてしまう、バッテリーを交換する手間が増えることにはなるが、それ以上にコンパクトさは常に持ち歩くカメラとして得られるものが大きいと感じた。
レンズによってアンバランスになる
FUJIFILM X-S10は軽量でコンパクトなボディ。だからこそXF70-300mmのような比較的大きいレンズを装着したときのバランスは良いとはいえない。普段望遠ズームなどの大きいレンズを使うことはあまり無いので僕にとってはデメリットと感じることはないが気になったところなので付け加えておく。
X-S10におすすめな周辺アクセサリー
FUJIFILM X-S10対応 アイカップ
ホットシューに装着して取り付けることができるアイカップだ。FUJIFILM X-S10のアイカップは薄いタイプで遮光性も低い。また、ファインダーを覗くときに鼻がモニターに当たってしまったりフォーカスレバーを操作するときに顔と親指が当たってしまうなど少々気になったので購入してみた。
装着してみると格段と覗きながらの操作しやすくなった。モニターの開け閉めでやや干渉することがあるので、常時装着はせずにスチル撮影をするときだけ使うようにしている。
Peak Design アンカーリンクス
室内での物撮りやミニ三脚を使用した動画撮影を行う際にストラップが邪魔になるため外すことがある。頻度が高いとこの作業が手間になるため、Peak Designのアンカーリンクスを使用している。Peak Designのアンカーリンクスはカメラ本体に取り付けるパーツとストラップに取り付けるパーツで構成されている。
ストラップをしっかり固定でき、外したいときもワンアクションでスッと取り外すことが出来る。また、複数のストラップを持っている場合は全てのストラップにアンカーリンクスを取り付けておけば気分でストラップを付け替えるといったことも簡単にできる。
HAKUBAレンズフィルター『XC-PRO エクストリームレンズガード』
HAKUBA 『XC-PRO エクストリームレンズガード』は、ドイツSCHOTT AG製のガラス材を使用した最高品質のレンズ保護フィルター。
撮影画像に悪影響を与えない超低反射率と、水滴や汚れが付着しにくい撥水・防汚機能を兼ね備えたエクストリームコーティングを施すことで、過酷な環境下での風景撮影などで極めて高い光学性能を発揮する。
大切なレンズを保護してくれる大事なアクセサリーだ。
HAKUBA保護フィルム FUJIFILM X-S10 / X-T30 専用
FUJIFILM X-S10と併せて購入した基本的なアクセサリー。人物などの映り込み防止に、パソコンやタブレットなどの画面にも採用されているAR(アンチリフレクション)コーティングを採用したX-S10の保護フィルム。指紋や皮脂の汚れを弾いて付きにくくする撥油性フッ素系素材も使用されているので汚れがついても簡単に拭き取れるのでおすすめだ。
FUJIFILM X-S10 まとめ
今回は、新しく買い替えた2020年11月発売の富士フイルムのミラーレス一眼レフカメラ「FUJIFILM X-S10」を紹介した。
・操作が直感的にできる
・軽量でコンパクト
・握りやすい深いグリップ
・動画や自撮りに便利なバリアングル
・色再現度の高いフィルムシュミレーション
・バッテリー持ちがいまいち
初めて持つ富士フイルム機だったが、富士フイルムの魅力を持ちつつ他社からの乗り換えでも直感的に操作ができる手軽さを持った良いカメラだ。今後仕事や趣味はもちろん、子供の成長を記録するパパカメラとしても最適な1台だ。